コトラー 新・マーケティング原論

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【書籍データ】

書 名:コトラー新・マーケティング原論

著 者:フィリップ・コトラー / ディパック・ジェイン / スヴィート・マイアシンシー

出 社:株式会社翔泳社

価 格:2,625円(税込み)

       http://www.shoeisha.com/book/hp/harvard/kotler.asp


 

 

【要約・解説】

 

マーケティングの大家といわれるコトラーが、時代の変遷(デジタル革命・グローバル化など)にともないマーケティングがどうあるべきなのか、いかなる役割を果たすべきかを新たに記したのが本書です。

 

デジタル革命により、事業活動あるいはマーケティング戦略は急激な変化にさらされています。

インターネット、テクノロジー、グローバリゼーションが結びつくことによって創出された「ニューエコノミー(デジタルエコノミー)」は、マーケットの変化があまりに速く、マーケティングが追いつけないほどになっています。

その結果、従来の「オールドエコノミー」の発想(製造業をマネジメントする)から、マーケティング・モデルを改め、マーケティングの再定義や再構築する必要が出てきました。

これまでのように、「作って売る」ことに邁進するだけでは、マーケティングはその使命を果たせなくなっているのです。

今後は、「作って売る」よりも前段階にある「何を提供すればよいか」といった判断にも積極的に関与し、「顧客のニーズを感じ取り、それに応える」という今まで以上に広い範囲に適用させることが必要になります。

 

それでは、「ニューエコノミー(デジタルエコノミー)」下において、具体的にどのようなマーケティングが必要とされているのでしょうか?

コトラーは「ホリスティック・マーケティング(全体論的マーケティング)」こそが必要だと提言しています。

 

「ホリスティック・マーケティング」を説明する前に、「ニューエコノミー(デジタルエコノミー)」がもたらした以下の動きに影響を受けている現在の市場を理解する必要があります。

 

①9つの発想転換


「ニューエコノミー(デジタルエコノミー)」で高業績を残すためには、事業全般とマーケティングに関して、以下の9つの発想転換をしなくてはならないとコトラーは述べています。


【9つの発想転換】

  情報の非対称性を解消して、全ての当事者に等しく情報を伝える

  一部の顧客ではなく、すべての顧客のために製品を用意する

  「作って売る」という発想を捨て、「(ニーズを)感じ取って満たす」ように努める

  地域経済ではなく、グローバル経済を事業のフィールドに据える

  収穫逓減の法則を克服して、収穫逓増を目指す

  資産を自ら所有するのではなく、社外の資産を利用する

  企業統治(コーポレート・ガバナンス)から市場統治(マーケット・ガバナンス)へ重点を移す

  大量市場(マス・マーケット)ではなく、個客市場(マーケット・オブ・ワン)を前提にする

  ジャスト・イン・タイムからリアルタイムへ移行する

 

②消費者・企業が得た新しいケイパビリティ


9つの発想転換により、消費者と企業それぞれにこれまでにない新しいケイパビリティをもたらしています。


【消費者の新しいケイパビリティ】

  買い手の立場が著しく高まっている

  製品やサービスのバラエティが目覚しく広がっている

  あらゆる分野の情報が豊富に得られる

  注文や商品受け取りの方法が多様化している

  他の買い手とチャットして、意見を交換できる

 

【企業の新しいケイパビリティ】

  有益な最新情報と手段を武器に、世界各地の顧客に販売勧奨ができる

  顧客との双方向コミュニケーションと取引の迅速化が可能である

  製品やサービスを個客向けにカスタマイズできる

  調達、採用、研修、社内外とのコミュニケーションなどを改善できる

 

新しいケイパビリティを得たことにより、市場の形態が劇的に変化しました。

具体的には、物理的市場(マーケットプレイス)と仮想市場(マーケットスペース)という2つの市場ができあがり、企業はその双方の市場に参加する必要があると作者は主張します。その市場を突き動かす要因は、顧客価値、コア・コンピテンシー、協働ネットワークであり、その3つの要因が、新しいマーケティング・パラダイムを生み出し、第3段階である「ホリスティック・マーケティング」が求めれることになります。

 

では、具体的に「ホリスティック・マーケティング」とはどのようなものなのでしょうか?

ホリスティック・マーケティングと従来の販売(第1段階)やマーケティング(第2段階)を比較すると以下のようになります。

 

主流の発想

販売

マーケティング

ホリスティック

マーケティング

発想の起点

工場

多彩な顧客ニーズ

個客の要望

焦点

製品

適切な製品・サービスとマーケティング・ミックス

顧客価値、

コア・コンピテンシー

協働ネットワーク

手段

 

セールスと

プロモーション

市場セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング

データベース・マネジメントとバリューチェーンの統合

目的

販売量をテコに

利益を増やす

個客満足度をテコに

利益を増やす

個客シェア、

顧客ロイヤリティ、

顧客生涯価値を高めて、利益と成長をともに追求する

         

 

ホリスティック・マーケティングは、デジタル革命を受けてマーケティングがより広い概念へと進化してことを示しています。

企業、顧客、事業パートナーが電子ネットワークを介して相互に作用しあい、ダイナミックで包括的なマーケティングを展開していきます。

発想の起点は個客の要望に置かれ、個客の要望に添った製品、サービス、顧客経験を生み出すことがマーケティングの使命とされています。

 

ホリスティック・マーケティングを考えるために役立つフレームワークは以下のとおりとなります。

 

【ホリスティック・マーケティングのフレームワーク】























 

企業が価値を探索、創出、提供する上では、その基礎となる

  製品・サービスのプラットフォーム

  事業アーキテクチャーのプラットフォーム

  マーケティング活動のプラットフォーム

  業務オペレーションのプラットフォーム

といった必要不可欠な4つのプラットフォームがあります。

ホリスティック・マーケティング・フレームワークは、これらの4つのプラットフォームを支える9つの要素を構成することで、企業戦略、事業戦略の立案を可能にし、ひいては株主価値を高めることを可能にするフレームワークとなっているのです。



(戦略立案イメージ)

















今日、デジタル革命の結果、以前にも増して顧客が絶対的な存在となりつつあります。

顧客側が具体的な要望と希望購入価格を伝え、製品の受け取り方法を決めています。さらには、情報や広告を受け取るかどうかを決めるのも顧客となっています。

そこで、企業は顧客価値を広い視点で捉え、顧客にとってもっとも便利なやりかたでニーズを満たさなければなりません。言い換えれば、顧客が最小限の時間とエネルギーで製品・サービスを探し、注文し、受け取れるように設計すべきと作者は述べています。

 

【我々の考察】

 

作者が述べている通り、インターネットの発達、ITの進化、グローバリゼーションにより、経済環境は劇的に変化を遂げています。そして、このような外部環境の急激な変化を受け、高い業績をあげるために、製品中心主義から顧客中心主義、いいかえれば「作って売る」から「ニーズを感じ取り満たす」への変化は必要です。
ただし、だからといって、従来からのマーケティング手法が否定されるわけではありません。
また、必ずしも、この手法でないと成功するというわけでもありません。
いくら完璧なマーケティングプランがあっても、各部門がそのプランに添ったパフォーマンスをしていなければ、期待通りの成果はでないということを肝に銘じておくことが重要です。

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