規格外野菜のヒットした背景と要因に関する考察


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今、「規格外野菜」と呼ばれる農協の定める規格に合わない野菜の売れ行きが好調で、日経MJが発表する2009年のヒット商品番付で東の関脇に選出された。

そもそも規格外野菜とは何か。

野菜のほとんどは、一旦地域の農協によって買い取られ市場に卸されるのが一般的で、そこで大きさ、色や形、品質など農協の定める規格により振り分けられ、価格が決定される。だが、曲っている、キズがついている、色が薄い、太さが足りない等何らかの理由で規格に合わない野菜は「規格外野菜」と呼ばれ、そのほとんどは店頭に並ぶことなく廃棄処分されており(一部はカット野菜や加工食品として流通)、その廃棄率はなんと生産量の約4割にも達するとされ、これまで農家の頭を悩ませてきた。

では、その規格外野菜が店頭に並びヒットした背景と要因とは何か。

まずは背景として、外部環境の変化について以下3点を挙げたい。

(1) 異常気象に伴う農林水産省からの規格外野菜の出荷要請

2009年は日照不足や長雨の影響により、農業は大ダメージを受け、それに伴い野菜の出荷数が減少し、価格が高騰した。野菜の安定供給を不安視した農林水産省は、「規格外として処分される野菜の出荷を生産者に求める」と発表した。

(2) 契約農家方式

昨今、大手流通・小売各社は中間流通を極力排除して、自社で直接農家(または農協)と契約をし、その契約農家が作った野菜を一括で仕入れる方式をとっているところが増えている。また、自社で農場を経営するところもある。

この新しい契約形態によって生み出されるメリットは以下のとおりである。

・中間マージンを極力抑えることで低価格な商品展開が可能

・市場価格に左右されにくい

・鮮度が良いものを早く入手できる

この方式で直接契約農家から野菜を買い取る上で、当然外見で問題のある規格外野菜が存在し、それを安く提供することにしたのである。

(3)消費者の意識の変化

昨今の景気低迷を背景に消費者の財布の紐はさらにきつく締められているものの、一昔前とは少し違い、「安かろう悪かろう」では売れなくなっている。

輸入野菜から規定値を大幅に超える量の農薬が検出されたり、2008年に起こった中国産冷凍餃子中毒事件、汚染粉ミルク事件等、度重なる輸入食品に対する信頼を失墜させる問題の発生により、消費者はこれまで以上に、食品の安全性を意識するようになり、国産回帰の傾向が強まっている。

かつての「品質より価格重視」もしくは「価格より品質重視」ではなく、「良いものを安く」と

いう意識への変化があり、図のとおりそこにうまくマッチしたのが規格外野菜である。  














このような外部環境の変化に伴い、これまでは地方の直売所や食材宅配サービス等でしか手に入らなかった規格外野菜が店頭に並ぶようになったのだが、では次にそのヒットの要因について探っていきたい。

規格外野菜の4Pについて考えると以下のとおりである。

Product:外見の問題だけで品質は規格野菜と変わらない

Price:低価格

Place:流通・小売各社の契約農家の増加

Promotion:エコブームに乗ったプロモーション

Product

規格外野菜はあくまでも形や色など外見に問題があるだけで、品質は国産の規格野菜と変わらない。前述のとおり安全な国産野菜の需要が高まっており、そのニーズに合致した。

Price

長引く景気の低迷に伴い、消費者の低価格志向はますます強まっている。規格外野菜は規格野菜に比べて平均5~7割程度安く、消費者のニーズに合致した。

また、スーパーによっては、規格外野菜をロスリーダー(小売店などの価格政策に用いられるもので、集客数を上げるため、収益を度外視して極端な低価格で販売する目玉商品のこと)として設定し、集客の目玉とする所も多い。

Place

外部環境の変化で述べたように、農協や市場を通さない契約農家方式の普及により、流通・小売各社は規格外野菜が入手しやすくなった。

Promotion

「良いものを安く」というコンセプトの他にも、消費者にうまく訴えたのは、エコブームに乗った「もったいない」というコンセプトである。

昨今のエコブームにより、スーパーでもエコバッグを持つ買い物客は少なくない。

これまで規格外野菜が無駄に廃棄されてきたことをアピールし、その野菜を買うことでエコブームに乗っている心理を消費者に抱かせることに成功した。それに加え、これまでの規格外野菜の「安い」だけのイメージを変え、実際に店頭で購入することに恥ずかしさを覚えていた消費者たちの意識改革にも成功した。

規格外野菜の人気はとどまらず、規格外野菜がすぐに売り切れるスーパーも多いそうだ。

また、野菜のみならず、例えばイオンは漁業組合の網ごと購入し、しっぽの折れた魚を安く提供するなど、魚や肉、米等にも広がりを見せている。

このままヒットを続けると、肝心な規格に合った食材の売上が減少するカニバリが避けられないのではないか。特に、国内産の規格野菜とのうまく棲み分けを行う戦略が求められる。今後の動向に注目したい。

 

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