GPS

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GPS(Global Positioning System)は 1970 年代の前半からアメリカ軍により開発が開始され,現在地球を取り囲んで周回している 約30基の 衛星からの電波により,いつでもどこでも高精度の三次元測位が可能な測位システムです。

GPS衛星からの信号には、衛星に搭載された原子時計からの時刻のデータ、衛星の天体暦(軌道)の情報などが含まれています。GPS受信機は複数のGPS衛星からの電波を受信してそれぞれとの距離を割り出すこと(光の伝播速度を利用)により、現在位置を測定することができます。3つの衛星が見えるところでは緯度と経度を、4つの衛星が見えるところではこれに加えて高度を割り出すことができる。(日本では環境が整っておれば、通常6~10基のGPS衛星から受信可能)

元来、軍用に開発されておりその誤差は数十cmといわれています。民間用に利用する衛星からは、意図的に弱められた信号が発信されているため、誤差は数十m程度となってしまいます。現在のGPS衛星はアメリカが打ち上げたものであり、その他の国は、アメリカのGPS衛星から電波を受信しています。そのため世界各国は独自の衛生システム開発・運用に着手しており、EUの『Galileo』、ロシアの『GLONASS』等があります。

日本では当初、GPSの民間利用は船舶の航行援助が中心であり、その後カーナビゲーションシステムに組み込まれ、拡大していきました。

その後、2007年に事業用電気通信設備規則が改正・施行され、今後発売される第三世代携帯電話にはGPSを標準搭載が義務づけられたため、携帯電話を通してGPS機能は消費者の間に広まっていったものの、端末性能が追い付かない部分もあり限定的な使用に留まっていました。しかし近年のスマートフォンの普及でGPSの利用用途も広がり、急速に拡大を見せています。

GPSを利用したサービスを、スマートフォンのアプリを中心にいくつか紹介していきます。




検索アプリ

街を歩いていて急に店舗やATM、駅などを探す事態が発生することはよくあります。スマートフォンによりこういった問題は随分と改善されたと思われますが、地図に載っていない・情報が古い、といった問題も残っていました。最近では、企業や銀行が自社の店舗・ATM等を自動で検索、経路や必要時間といった情報を迅速に表示するアプリが次々と開発されています。これによりユーザーは最新の情報に従い、最短の経路で目的地まで行き着くことが可能になります。現状では自社の店舗や拠点を検索するアプリが殆どですが、今後は街にある全ての店舗や拠点を一括に検索できるアプリ・サービスが登場すると考えられます。


位置把握アプリ

予め登録しておいた家族や友人の位置をリアルタイムで把握できるアプリです。従来、待ち合わせなどでうまく落ち合えないというニーズがあり、それに応える形で開発されました。駅や街の主要地点を登録しておくと、待ち合わせ相手がその付近を通った際に通知する機能もあり、待ち合わせでの不満解消に役立つと言えるでしょう。


また、小学生の子供を持つ親を対象に行った最近の調査では、57%の親が、防犯目的として子供にGPS機能を持つ携帯電話(または端末)を持たせたいと答えています(実際に15%はすでに持たせている)。家族(特に子供)への防犯意識は近年非常に高まっており、そういったニーズに応える新たなアプリやサービスは今後も継続して世に出てくるだろうと考えられます。


なおこの手のアプリは立ち寄り先や移動経路が詳細に判明するため、うかつに利用すると手痛いミスにつながる可能性もあるので、使いどころを間違えないようにしたいところです。




宅配アプリ

ドミノピザが提供するアプリはGPS機能を利用してユーザーが今いる場所にピザを配達してくれるという画期的なサービスです。従来は、自宅以外から頼むと住所がわからないといった問題や、また野外の配達は詳細位置が不明なため(例えば公園で花見等)なかなかピザの配達は利用されづらい傾向にありました。しかしこのアプリがあれば詳細な場所がわかるため、特に住所の入力をせずとも手元まで配達してくれ非常に便利です。またアプリ専用のクーポンや配達待ちの間に遊べるゲームを配信するなど、顧客の囲い込みにも一役買っていると言えるでしょう。


同様にタクシー迎車のアプリも存在します。現在地点まで迎えに来てくれるだけでなく、予め自宅等を登録しておけば、そこまで送ってくれるようです。あまりの疲れに乗車した直後に行き先を告げることなく寝てしまっても安心できるというわけです。




情報交換・共有アプリ

iPhone用のアプリで爆発的にダウンロード数を伸ばしているのが『Bump』と呼ばれる電話番号やメールアドレスを交換できるアプリです。AppStoreで10億ダウンロード目のアプリとなったことでも有名なこのアプリは、お互いのiPhoneを軽くぶつけ合う(実際に接触させる必要は無く、加速度センサーが反応する程度に動かすだけで良い)ことで情報交換が可能です。電話番号以外にも、iPhone上に保存してあるデータ(音楽・画像・カレンダーイベント等)を交換可能で、最近ではさらにお互いのアプリの共有も可能になっているようです。

また、登録したユーザー同士が街や店舗ですれ違った時に情報交換ができるアプリもあります。同じ場所にいるということは、趣味趣向が近い確率が高く、コミュニケーションの壁が低いと言えそうです。また従来のPCベースのソーシャルメディアではオンライン上での出会いが中心でしたが、スマートフォンとGPSを利用すればその出会いの場をリアルに広げることが可能です。



ソーシャルメディア

フォースクエア

店舗に訪れた際に"チェックイン"することで、その情報がSNS上の友人に広がるという仕組みです。近くに友人がいる場合には店舗で落ち合うといったことが可能になります。またチェックインをする度に"バッジ"と呼ばれる来店証明がもらえ、それを集めることで新たなバッジや称号がもらえたりするゲーム性を持たせていることが人気に繋がっているようです。またフォースクエアと提携する企業も増えていて、ユーザーはバッジ数に応じたサービスが受けられるようになりました。アメリカではスターバックスやスポーツジム大手のクランチ、遊園地チェーン大手のシックスフラッグス等が提携を発表しており、ユーザーの訪問履歴を活かしたプロモーションを行うなど顧客の囲い込みに積極的です。


Facebook

すでにFacebookには互いの位置情報がわかるサービスが搭載されており、最近では位置情報を活かした『Facebook Deals』と呼ばれる共同購入クーポンサービスを開始するとの発表もありました。このサービスは、事前に位置情報を登録しておくことで付近の店舗で割引やクーポンといった特典を受けることが可能です。こちらもフォースクエア同様に、サービスを受けたユーザーのSNS上にはその情報が更新されるため、それを確認した友人が同様のサービスを受けるために店舗を訪れる、といった流れができます。ここでほぼ同様といって良いサービスを展開するフォースクエアとFacebookのユーザー数を比べると桁が二つも違うことがわかります。SNSはユーザー数が物を言う場面も多々あり、すぐに決着するわけではないでしょうが、今後の動向が気になるところです。こういったアメリカの動きに対し日本の状況は少々異なるようです。日本国内ではmixiやGREEといった既存SNSのシェアが高く、店舗検索やクーポンサービスも国内特有の企業が展開しており、フォースクエアやFacebookのクーポンサービスはなかなか拡大しづらいようです。




ドコモワンタイム保険

GPS機能を利用してユーザーがいる場所に応じた短期の保険サービスです。

予めサービス登録しておくことで、メールで状況に応じた保険内容が送信されてくるので、ユーザーは好みの保険を選択、有事の際には保険を受けることができます。レジャーでの傷害・賠償保険やゴルフのホールインワン保険等があるようです。

今後の展望

iPhoneに続きAndroid端末も次々とリリースされ、今後はスマートフォンが主流となる時代と考えられます。GPSは『位置情報』という新たな概念を加えることが可能で、これを活かしたサービスはスマートフォンの普及に合わせて急速に開発が進むと考えられます。すでに前述の店舗検索アプリでは最寄りの店舗までの案内中に、プロモーションの一環としてユーザーに端末画面でクーポンや商品情報を確認させるといった試みが実用化されていますし、飲食店では店舗につく前に予め端末から注文することも可能で、さらに端末上に保存してある個人情報を利用し決済まで行わせるサービスも考えられています。iPhone5にはNFC(非接触ICカード)が搭載されるとの話もあり、スマートフォンで決済を行うとSNSと連動してその情報が瞬時に広がり新たな消費に繋がる、といったことも容易に想像できます。ユーザーの現在地の特性を考慮した商品やサービスを提供可能で、顧客毎に細かいフォローを行う企業も増えてくるでしょう。

また各ソーシャルメディアも位置情報を活かす方針を打ち出しており、今後も次々と新たなサービスが導入されていくと考えられます。


ただしバッテリー消費の問題、位置情報の精度不足問題、屋内での精度向上等、技術的に多くの問題を抱えていることも確かです。

またプライバシーについても配慮する必要があります。直近ではAppleとGoogleがそれぞれのiPhoneやAndroidからユーザーの位置情報を収集・保存しているとの報道がありました。もともと利用規約に位置情報収集の項目が盛り込まれているようで、法的な問題には発展しないと考えられますが、反響は大きく、AppleではOSアップデートで情報のバックアップを廃止する等、緊急の対応を迫られました。無論、Appleは位置情報を悪用するつもりは無く、今後リリース予定の交通情報サービスなどに利用するつもりであったようです。


また、GPS衛星そのものに目を向けてみると、2010年9月に日本初となるGPS衛星『みちびき』が打ち上げられています。今後数年以内に日本のGPSを7基程度まで増やす方針となっており精度も10倍以上と今後の運用に期待がかかっていますが、2,000億円以上の予算が必要となるため議論は慎重に進んでいくと考えられます。しかし、この度の東日本大震災を受けて災害時の防災対策衛星としての役割の必要性が改めて認識されており、今後の開発が急速に進む可能性もあるでしょう。

 

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