採用者の本音

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当社(株式会社エデュケーション)では、研修トレーナーとして、いろいろな企業で研修を実施していることから、企業の人事部の方々と接する機会が多数あります。また、人事系のコンサルタントとして直接的に採用のお手伝いをすることもあります。

そうした、日々の業務の中で採用担当者の本音を聞くことがありますので、少し皆さんにもお伝えします。

「企業はどんな人が欲しいのか」


「どんな人を採用したいのですか」という質問を採用担当者の方々にストレートですると、多くの方は、「そりゃあ、会社で活躍する人を採用するんだよ」と回答されます。当たり前といえば当たり前のことですが、就職・転職活動をされている方の中には、この重要なことをすっかり忘れてしまっている方も多いようです。


当然ですが、「良い大学に通っている」とか、「英検1級を持っている」とか、「体育会で主将をしていた」といったことが一番大切なわけではありません。要は、企業は「自社で活躍してくれる人材を取りたい」。これに尽きます。

では、どのような人が活躍するか。これが、なかなかわからない。

どれだけ「筆記テスト」をしようが、「面接」を重ねようが、その人が入社後に活躍するかどうかは、そう簡単にわかるものではありません。

というよりも、そもそも自分の会社ではどんな人が「活躍してくれる人材」なのかがはっきりしない。そこで、今の多くの企業が実施しているのが、


『「自分の会社で活躍する人材のパターン」をなんとか見つけ出し、そのパターンにあてはまる人材を採用する』


という方法です。

そのための第一歩は「自社の活躍している人材像の明確化」です。

もっともオーソドックスな方法としては、自社で「活躍している人たち」と「活躍していない人たち」を比較し、どこに違いがあるのかを導きだす、というやり方です。

それぞれ数十名をピックアップし、それぞれの特徴を探る。ある会社では学歴が違うかもしれないし、持っている資格が違うかもしれない。

ただし、まぁ、そういったことはまれで、多くの場合は、「行動特性(行動パターン)」が異なる場合が多いようです。「コンピタンシー」といった言い方もします。

この「行動特性」とは日々生活するうえで、その人がどんな「クセ」を持っているか、ということです。ある人は、できるだけトラブルが起きないように前もって計画を立てるタイプで、ある人は、いきあたりばったりで行動する。こういった、行動面の「クセ」を「行動特性」と呼びます。

そのため、最近の採用では、自社で活躍している社員の「行動特性」を探り、応募者の中から、最も適した「行動特性」を持っている社員を採用する、これが、現在の採用の流行です。

この求められる「行動特性」ですが、それぞれの会社でけっこう異なります。例えば、金融機関であれば、「繊細であること」「段取りを立てること」といった特性が求められますが、商社や販売会社などでは、「繊細であること」はストレスに弱くなる可能性が高いために嫌われて、「まず行動してみる実行力」などが大切にされますケースも多いようです。

また、同じ業界でもその企業が置かれている立場によって、「現状をきっちり回していくタイプ」の人が求められたり、「周囲を巻き込むタイプ」が求められたりとします。


ところが、就職・転職活動者の多くが、雑誌や書籍等で「コミュニケーション力が大切」と聞くと、それを売りにし、「リーダーシップが求められている」と聞くと、どこの会社でも自分のリーダーシップを語ることに終始してしまっています。

もし、本当に行きたい会社があるのでれば、その会社で活躍しているのはどんなタイプの人なのかをまず考えてみて、その要素を自分は持っているのか考えるべきです。そして、その要素が特に発揮された過去のシーン(逸話)を面接で話す努力が求められます。


採用担当者は、「行動特性」を2つの方法で確認をします。一つ目は、面接中の挙動です。「落ち着いて物事を判断する」というタイプがほしい場合は、面接での受け答えが「落ち着いて物事を判断しているかどうか」を確認します。


「圧迫面接」。皆さんの中にも経験があるかもしれません。悪名高きこの「圧迫面接」は、まさに、「行動特性」を探る面接です。自社で活躍する人材は、「ストレスに強い人材」であることが分かった場合、企業は、「ストレスに強い人材」であるかを探るため、面接でストレスをかけ、どのような言動をするかを探ります。


もう一つは、過去にどのように行動してきたか、どう考えたか、を確認する方法です。できるだけ具体的な行動事例を聞き出します。ところが、就職・転職活動者の多くが「私はリーダーシップがあります」といった主張はするのに、具体的な行動例(エピソード)が全くない人が多くいます。行動事例でも、特に求められるのが、「このような価値基準、判断基準でそのように行動した」といった説明です。「なんとなくそのようにした」では、その人が、同じような境遇で同じような行動をするとは限らないためです(再現性が低い)。できれば、


  • 1) 私はこのような価値基準を持っていたので、
  • 2) このように判断し
  • 3) 結果、こういう行動をした


という説明が最も効果的です。


「結果が出るのに時間がかかる」


前述の通り、採用では各社ともに「自社で活躍する人材を採用すること」を目標としている、と書きましたが、これは、「うまくいった」「いかなかった」が判明するのに、とても時間がかかります。多くの企業では、一つの部署に在籍するのが長くても10年未満といった会社が多いですから、採用担当者は、その年の採用が成功したのか、失敗したのか、正直、はっきりしません。

一方で、成果主義の名のもとに、短期間での成果を求められることから、一定の指標を用いて、採用の成否を測定します。


まず、一つ目が「就職ランキング」です。学生が「どこの企業に行きたいか」を投票するものですが、採用担当者はこれに一喜一憂します。新聞等に発表されるのは上位10~50位程度ですが、各企業には、さらに下位まで報告がされます。

そのため、躍起になってこの順位を上げる努力をします。具体的には、どこで投票用紙が配られるかイベントを調べ、そのイベントでは普段以上のブースを出展したり、お金を払って、講演をしたりします。

このランキングは、各企業の経営者など採用担当者以外の目にも触れるため、一部企業では躍起になって対策をしています。普段は採用に関心がない他部門の役職者も、このランキングには目が留まるため、ランキングの上下に多くの人事部は気を遣っています。


そして、もう一つの指標が、エントリー者数です。人気のある企業では10万人近いエントリーがあるそうです。このエントリー者数を増やす努力を各企業はしています。一部先進的な企業では、自社にそれほどの興味のない人、あまり自信のない人を振るい落として(人事部員が言うところの「セルフスクリーニング」)、採用コストを圧縮する企業もありますが、いまだに多くの企業では、とにかく、エントリー者数を増やそうと努力をしています。


もう一つの指標が、内定者の入社率です。各企業では、入社予定者の倍以上の内定を出します。学生が内定を数社持っているので、当然といえば当然です。そして、各企業は、「A社には2勝3敗だったが、B社には5勝2敗だった」などと星取表を作ったりします。特に、業界内でし烈な競争をしている企業だと、どちらが取るかは重要なミッションになります。また、系列企業内で取り合ったりすることも多くあるようです。


なんにしろ、本質的には、活躍する人材が採用できたかどうかは、長時間が過ぎたのちにしか、判断できません。極端な言い方ですが、3年で3割が退職しようとも、残りの7割が長期的に活躍するのであれば、問題がない、というケースもあります。

ただ、採用を10年以上担当し続ける人はほぼいませんので、実際問題は、人事担当者本人も良い採用をしたのかどうか、わからないままになっているのがほとんどです。そのため、とりあえずすぐに問題にならない人を採用し、各指標を確実に良くする、これに終始してしまっているケースもあるようです。


「多様な人材を採用する」


これが、けっこう頭を悩ませるテーマです。欲しい人材をシャープに定義すればするほど、似た人材の集団になってしまいます。ただし、企業が中長期的に強くなろうと思うと、多様性は重要です。現在流行の採用手段だと、多様性の確保は困難です。


人事部は多様な人材を確保しようと思っています。例えば、出身大学。一つの学校から多数採用するよりは、多くの学校から採用したい、と思っています。

そのため、例えば、20名採用するケースで、A校出身が10名、B校出身が5名、C校出身者が4名、それぞれ内定している場合、残り1名は、できるだけA校出身者を採用したくない、という心理が働きます。同じようなスペックでA校出身者とD校出身者が候補で残っていた場合は、D校出身者を採用します。このようなケースでは、有名校ほど、損をするケースがあります。採用時に学校名を確認するのは、その学校だから採用する、というよりも、特定の学校に偏らないようにするためというケースが多いようです。

 

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