ファストファッション

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ファストファッションとは、最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランのことを言います。

昨今、このようなファストファッションと呼ばれるブランドが日本をはじめ、世界中で台頭しています。
商品投入のペースが早いことから、「ファストフード」のように、「ファストファッション」と呼ばれています。

 

このファストファッションは、店頭で販売されている商品が目まぐるしく変わり、時間が少し経つと主力商品のラインアップが、がらりと様変わりするような回転の速さを演出しているのが特徴です。新しいファッションが常に店頭に並んでいることで、顧客を飽きさせる事がありません。
また、欠品になった商品が確実に補充されるわけではないことから、顧客は、頻繁に店舗を訪れます。

従来、流行の先端ファッションは値段が高く、一握りの人だけが購入できるものでした。そして、時間の経過に伴い陳腐化したデザインの商品が安価で大量に提供され、大衆が手にする、という図式がファッション業界の常識でした。
しかし、この常識を崩したのが、ファストファッションです。

これらのブランドは、欧州の一流ブランドの流行に遅れる事なく、リアルタイム且つ、多品種少量生産をし、低価格で売り出しています。少量生産であるため、不良在庫を抱えることなく、製造から小売りまでを一貫して行い、低価格を実現しています。
代表的なブランドとして上げられるのが、H&M(スウェーデン)、ZARA(スペイン)、フォーエバー21(アメリカNY)、TOPSHOP(イギリス)、ユニクロ(日本)等です。
この中から、日本で注目を浴びている4つのブランドを紹介します。

 

「H&M」


H&M(エイチアンドエム)は、スウェーデンのアパレルメーカー、ヘネス・アンド・マウリッツ(Hennes & Mauritz AB, ヘネス・アンド・モーリッツとも表記される)が展開するファッションブランドです。低価格かつファッション性の非常に高い商品で世界的な人気を誇っています。他のファストファッションと最も異なる点は、非常にファッション性が高い点です。ニューヨークやパリ等で発表された最新ファッションにも後れをとらない最先端のファッション性を実現しており、トレンド性の高い商品を揃えた専門ショップ、セレクトショップや百貨店に対抗する存在といえます。


「ZARA」


ZARA(ザラ)はスペインのアパレルメーカー「インディテックスグループ」のファッションブランドです。スペインの北部ラコルーニャが本拠地で、1975年にスペインに第1号店をオープンしました。
以来、積極的に出店を開始し、2008年時点で世界中に約1,000店舗を持ち、1997年には、日本法人が設立されました。ファストファッションの要素である低価格と、女らしいワンピースカットソー、そして、カジュアルなジャケットやスーツが特徴です。ZARAの特長は、とにかく品数と種類が豊富であり、店鋪によって品揃えが違う点があげられます。スペインでは今や一番人気の高いブランドに成長しており、幅広い世代に受け入れられているのも人気の秘密です。


「FOREVER21」


日本に最近上陸し、注目を浴びているファストファッションが、「フォーエバー21」です。「フォーエバー21」は、韓国系アメリカ人のドン・チャンにより1984年、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスに設立されて以降、世界10ヶ国に460店舗(2009年現在)を展開しています。日本では、2009429日に東京都渋谷区に原宿店がオープンし、日本第1号店となりました。今後、新宿店、渋谷店、銀座店を順次オープンする予定です。2009年中には、全国に更に5060店をオープンする計画をたてています。

ブランド名には「着る人の誰もが21歳に見えるように」という願いが込められています。「セレブカジュアル」発祥の地であるロスアンゼルスが発祥の地という点は、「フォーエバー21」が他のファストファッション・ブランドと決定的に異なるところです。ほとんどの商品はお膝元のカリフォルニア州内の工場で生産されており、多くのファストファッションが人件費の安いアジアや南米で生産される中、「フォーエバー21」は「made in U.S.A.」です。
米カジュアルブランドでは「GAP」が有名ですが、「GAP」と比較すると、「フォーエバー21」は、トレンド性が高い点が特徴です。また、度々、ライバル視される「H&M」と最も異なる部位は、「H&M」が掲げる「ハイファッション」に対して、LAセレブ風の派手な点が特徴といえます。


「ユニクロ」


最後に紹介するのは、ファーストリテーリングが展開する「ユニクロ」です。
昨今、衣料品不振が流通各社の業績悪化の中、「ユニクロ」の2008911月期連結決算は、売上高が前年同期比17.5%増の1885億円、営業利益は45.6%増の409億円と大幅に伸びています。この背景としてあげられるのが、保温性肌着「ヒートテック」等のヒット商品の存在です。そして、「990円ジーンズ」「ブラトップ」「サマースカート」等、積極的な商品投入により、今後も業績を伸ばすと思われます。


H&Mの日本戦略


それでは、ファストファッションを理解するために、ファストファッションの代表格である「H&M」の日本上陸時の戦略を見ていきます。


(1)商品力「インパクトのある安い価格とほどよいトレンド性」


「トレンドの洋服を低価格で購入できる」のが「H&M」の商品の最大の魅力です。実際、日本に先行して上陸している「GAP」や「ZARA」などと比較しても、手頃な価格で展開しています。(商品例としては、男性もののスーツが3万円弱、セーターが4千円弱と比較的低価格)

「GAP」や「ZARA」や比較すると、「H&M」はデザイン性が高く、若者志向である点も特徴といえます。また、売り場には、毎日新商品が入荷され、売りきれたとしても、商品の追加はなく、売り切っていくことを重要視した商品戦略をとっています。


(2)出店戦略「大都市の一等地に旗艦店」


「H&M」が大都市の一等地に旗艦店を構え、知名度を高めた後、周辺地域に集中出店する戦略をとっています。まずは原宿と銀座に出店し、20099月に郊外の三郷ららぽーとに出店。今後は、さらに地方への展開が予想されます。


(3)プロモーション「デザイナーコラボの火付け役」


「H&M」のファッション性を支えている要素としてあげられるのが、トップデザイナーとのコラボレーションです。200811月に日本で開店した原宿店では「コム・デ・ギャルソン」とのコラボレーション商品が世界先行発売されました。当然、この商品も格安な価格で販売されました。

また、過去にはカール・ラガーフェルド、ステラ・マッカートニー、ヴィクター&ロルフ、マシュー・ウィリアムソンなどの有名デザイナーによるラインナップや、マドンナ、カイリー・ミノーグとのコラボも実現しました。

では、日本上陸後話題になっている「H&M」が今後も必ず日本で成功するかといえば、疑問符がつく部分もあります。たとえば、縫製や素材などの品質面では見劣りする部分があります。H&Mは日本進出にあたって専任の品質管理マネジャーを採用したものの、縫製のチェックは海外で実施し、国内で再度チェックしているわけではありません。品質にうるさい日本人に今後も支持され続けるかは、疑問が残ります。

そして、一番のポイントは、「トレンドの服は1年着られればかまわない、品質より価格が大切」という意見の層が日本にどれだけいるか、という点です。物を大切にする、使えるものは捨てない、という日本に古来からある価値観では、「時代に遅れたから捨てる」という考え方がベースにある「H&M」の基本戦略が幅広く受け入れられるとは、思えません。特に地方展開後に、どこまで受け入れられかは、疑問が残る部分もあります。