バリューチェーンの具体例

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実践的用語解説ではバリューチェーンについてフレームワークとしての説明を行いましたが、今回はその具体的事例について、業界内での比較・業種間の比較を用いて深掘りしてみたいと思います。

 

まずバリューチェーンの定義を振りかえると、大きく二つの考え方がありました。一つ目は、ポーターが提唱した「狭義のバリューチェーン」で、モノの動きから事業活動を分解し、付加価値とコストがどこで発生し、マージンが生まれるかを考えたものです。

しかし、現在はコストとマージンだけに着目せず、自社事業の流れをプロセスに分解し、それぞれのプロセスをステップに分けた「広義のバリューチェーン」も一般的になっています。この二つ目の概念では、既存の業種・業態に限らない新しいビジネスモデルを発想したり、他者(顧客や競争相手)との提携や協力の余地を見出すことができます。これにより、現在のような多様なビジネスモデルを理解し、発展することが可能となりました。

 

今回は、この広義のバリューチェーンを理解する上で、まずは狭義のバリューチェーンに近い事例から検討を行い、徐々にその業種範囲を広げてみたいと思います。

 

①小売業界の事例

小売業の中でも、モノを仕入れて販売する事に特化した事例として、百貨店とディスカウントストアの比較をしたいと思います。

 

 

このようにみると、百貨店とディスカウントストアが同様の物でも値段が異なることが一目瞭然です。百貨店は高付加価値の商品を、高いコストをかけて販売し、消費者に購入するサービスを提供してマージンを得ています。一方、ディスカウントストアは、安い商品を安く販売する事に特化した戦略を取っています。

これにより、良い物を安く買いたいのか、良い物を良いサービスの中で心地よく買い物を楽しみたいのか、という違いが産まれていると言えます。

 

②アパレル業界のバリューチェーン

次に、小売だけでなく、そこで販売するモノの提供の流れも加えた、広義のバリューチェーンの事例として、アパレル業界を比較してみます。

ここでは、当サイトのコラムでも取り上げた、「ファストフッション」など、SPA(製造小売業)を考えてみます。

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このようにみると、狭義のバリューチェーンでは右上の部分のみでしたが、製造小売業と比較して広義のバリューチェーンを見ると、その違いがよく理解できます。

製造小売業では、商品企画段階から、強さに特化した戦略を一貫して取ることが可能となり、最新商品を安く作り、売り切れ前提で出荷・陳列し、安く売るという流れが完成されています。

また、海外型のファストファッションと、日本のユニクロを比較してみると、商品企画から仕入れ・店舗戦略が多少異なっています。これは、ファッションに敏感な消費者に最新ファッションを安く提供するか、品質の良い商品を安くあらゆる人に提供するかという戦略の違いが、現れた結果だと考えられます。

 

 

③スマートフォンのバリューチェーン

最後に広義のバリューチェーンの事例として、広い業界のどのレイヤーに特化するかの違いを比較するため、iPhoneとandroidを比較してみます。

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一般的に、スマートフォンを比較する際、iPhoneかAndroidかと言われますが、両社の位置付けは全く異なることがわかります。

iPhoneはAppleのブランドと製品開発力を強みに、サービスを一貫して管理されていることで、その高品質さを維持しつつファンを拡大して来ました。

一方、Androidはあくまで技術力によるOS開発のみに留め、キャリアやメーカー、アプリ開発者全てに対するオープンな戦略を取っています。これにより影響力の強い各ステークホルダーが、Apple主導ではなく自由に活動することが可能となりました。

これにより、大きく先行していたiPhoneをAndroidが短期間で追い抜く事ができたと考えることができます。

 

 

このように、バリューチェーンは、業界や事業構造を広く捉えて新たなビジネスを生み出すには非常に優れています。また、自社の強みや構造を分析するだけでなく、競合他社や近接する業界を巻き込んで戦略を立てることができます。

皆さんの会社でも、自社事業のドメインに縛られることなく、広い視野でビジネスを考えてみると、新たな戦略が産まれるかもしれません。

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以上