カニバリ

カニバリゼーション(cannibalization)とは、自社のある商品が売れることで、自社の他の商品が売れなくなってしまう「共食い」現象のことをいいます。多くの場合、「カニバリ」と略して使われます。

企業は新商品を投入する際、それまでの商品の売上をベースとして、新規商品分の上積みを期待します。その時のターゲットは、その商品のノンユーザーと、競合商品のユーザーです。

しかし、既存の自社商品と同じような機能や性能を兼ね備えた新商品で、さらに価格が割安なものを市場に投入する場合、ターゲットやコンセプトが既存商品と類似してしまい、今まで自社商品を買っていたユーザーが新商品を購入し、既存商品の売上が落ち込み、新規商品がある程度売れたとしても既存商品の落ち込みをカバーできない状況が発生してしまいます。それにより、ノンユーザーと競合商品ユーザーをターゲットとするべきところが、自社商品の売り上げを押し下げる現象がおこります。これをカニバリと呼びます。

新商品の売上が上がることは企業にとってはもちろん良いことですが、それによって自社の既存商品の売上が下がり、結果的に企業全体としての売上が下がってしまっては、新商品の導入は必ずしも成功とは言えません。
特に成熟期の市場の場合には、飽和状態でノンユーザーがほとんどいないため、シェアの高い企業が新商品を発売する場合にはそれだけカニバリが発生する可能性は高くなります。



カニバリを起こさないためには、まずは市場にすでに出ている商品について、ポジショニングマップを作成し、それぞれの商品の位置を確認します。その上で、新商品をどのポジションに置くかを検討します。

その際には、自社における既存商品ラインの整理や統廃合を行う、既存の商品とは異なるチャネルで展開する、またはその商品の違いを顧客に認識してもらえるようにマーケティング努力を行う、これまでの商品とあわせ買いをしてもらうようにプロモーションを行う等、事前にしっかりと対策を練る必要があります。

カニバリの代表的な例として挙げられるのは、ビール市場です。
ビールより安価な発泡酒、第3のビール(ビール系飲料)の発売によって、主力商品のビールの売り上げが全盛期の半分くらいまで減少しました。
しかし、主力商品の売上減少は招いてしまったものの、安価な代替品の登場により、不景気で冷え込んでいた消費者の財布の紐を緩める結果となり、結果的にはビール系飲料を含めたビール総市場の売上は微増しています。

新商品の投入が市場のニーズを満たすものであるならば、ある程度のカニバリは商品が淘汰されていく過程で覚悟すべきものです。投入直後のカニバリが落ち着けば、上記のビール市場のように、結果的に市場の支持を得ることができます。重要なことはカニバリが起きるリスクを超えるだけのプラスが期待できるか、新商品投入前に見極めることです。
不必要なカニバリを起こさないためにも、市場のニーズを十分に理解する必要があります。