スキーマ

「スキーマ」という言葉を知っていますか。「スキーマ」は、さまざまな物事に対して「その人が無意識のうちにしてしまう、判断基準や物事の捉え方の法則」のことをいいます。言いかえると、人それぞれの思考のクセや思い込みといってもいいかもしれません。

「ステレオタイプ」や「偏見」はスキーマの一種といえます。ステレオタイプは、一般的に受け入れられているイメージや概念を指します。たとえば「子供は甘いものが好き」というイメージは、子供に対するステレオタイプなイメージだといえます。さらに、他の要素の影響を受けて判断をしてしまう「ハロー効果」もスキーマの一種と言えます。一般的に人は、ハロー効果の影響により、有名大学を出ているだけで人格的にも優れていると判断しがちであるということが知られています。

人は知らず知らずの間にスキーマの影響を受けて行動しているため、スキーマがもたらすメリットとデメリットを理解しておく必要があります。

スキーマのメリットは、考える時間を短縮することができ、効率的に考えることができるということです。すべてのスキーマを取り払ってゼロから全部考え直していたら、非常に時間がかかることになります。

また、スキーマを利用する方法があります。たとえば、ブランドというものも、一種のスキーマです。ブランド戦略とは消費者にスキーマを作る活動です。消費者がブランド価値を認識することにより、ブランド商品の保有者に対しても「おしゃれだ」・「金持ちだ」といった先入観を持つようになります。

デメリットとしては、スキーマがあるために、よく考えずに、思い込みで短絡的な結論を導き出してしまうということがあります。

特に、新しいビジネスを検討する場合や抜本的な問題解決を図る場合には、スキーマを取り払ってゼロベース思考で考える必要があります。例えば、NTTドコモのiモードも、「携帯電話の画面に表示された細かい文字なんて誰も読まない」と言われていた既成概念を乗り越えて大成功を収めました。ヤマト運輸は「小包配送は郵便局がやるもの」・「官に逆らって成功することは難しい」といった常識を打ち破って宅急便というビジネスを成功させました。

「なぜを5回繰り返せ」とトヨタで言われている言葉は、スキーマを越えて真の問題把握をする必要があるというスタンスを示していると言えます。

スキーマは自らの置かれている環境に大きく影響されます。ビジネスの判断においても、自分の思考が自らの属している企業・業界・社会の影響を大きく受けていることを知っておく必要があります。スキーマの存在を知って、それと上手につきあい、必要に応じてゼロベース思考をできるようになることが重要なのです。その分野・業界についての素人の意見を聞き、参考にすることも、自分のスキーマを認識し、取り除くための一助になるはずです。

例えば、マンガについてどう思うかを尋ねると、「子供が読むものだ」とか「読むと頭が悪くなる」という人もいるでしょうし、マンガの影響でプロスポーツ選手になった人なら「人生のバイブルだ」答えるかもしれません。参考書としてマンガを用いた経験から「勉強になった」と答える人もいるでしょうし、さまざまな答えが返ってくるでしょう。これは、人は「自分の過去の経験によって、物事をとらえている」=「スキーマを形成している」ということを示しています。