変革期の組織学習:ダブルループ学習

| コラム 株式会社エデュケーション

環境変化が少なければシングルループ学習が適している

このコンセプトの提唱者であるクリス・アージリスはサーモスタットのたとえを用います。例えば、意思決定ルールとして「温室を25℃に保つ」があったとします。フィードバックされた情報が「今23℃」だとするとサーモスタットは電源を入れる意思決定をします。あるいはフィードバックされた情報が「今27℃」だとするとサーモスタットは電源を切る意思決定をします。その意思決定により温室は25℃に保たれます。これがシングルループ学習です。

この学習パターンは環境変化が少ない状況に適しています。温室の例にたとえると、「温室を25℃に保つ」というルールが常に正しいことを指します。

変革期にはダブルループ学習が必要

VUCAの時代、すなわち変革期にはシングルループ学習では対応できません。昭和の時代につちかわれた信念や価値観に疑問を呈することなく、相変わらず同じ意思決定ルールにもとづいた運営を続けるならば、組織の衰退は避けられません。

ここで登場するのがダブルループ学習です。賢いサーモスタットがいたとします。「この温室には以前は胡蝶蘭が育てられていたので25℃で良かった。でも今はシンビジウムが育てられているので、23℃の設定にすべきではないだろうか。」つまり、情報のフィードバックをもとにメンタルモデルを書き換え、さらには書き換わったメンタルモデルをもとに意思決定ルールを書き換えるような学習がVUCAの時代には必要なのです。